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教育調査・分析

記事 2011年

少年非行に関する世論調査 (1/2)

内閣府は、 昨年(平成22年11月25日〜12月 5日)「少年非行に関する世論調査」を行った。 1,886人に、 調査員による個別面接聴取法 で行った。


1.少年非行に関する意識

(1) 少年非行は増加しているか

実感として,おおむね5年前と比べて,少年による重大な事件が増えていると思うか,減っていると思うか聞いたところ,「増えている」とする者の割合が75.6%(「かなり増えている」37.8%+「ある程度増えている」37.8%),「変わらない」と答えた者の割合が18.7%,「減っている」とする者の割合が3.0%(「ある程度減っている」2.7%+「かなり減っている」0.4%)となっている。
性別に見ると,「増えている」とする者の割合は女性で高くなっている。また,「変わらない」と答えた者の割合は男性で高くなっている。
子どもの有無別に見ると,「増えている」とする者の割合は大学生の子どもがいる者で高くなっている。

(2) 増加している少年非行

おおむね5年前と比べて,少年非行はどのようなものが増えているか聞いたところ,「自分の感情をコントロールできなくて行うもの(突然キレて行うもの)」を挙げた者の割合が62.5%と最も高く,以下,「凶悪・粗暴化したもの」(47.6%),「低年齢層によるもの」(42.3%),「明確な動機がないもの」(31.5%)などの順となっている。(複数回答,上位4項目)
都市規模別に見ると,「明確な動機がないもの」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「自分の感情をコントロールできなくて行うもの(突然キレて行うもの)」,「凶悪・粗暴化したもの」,「低年齢層によるもの」,「明確な動機がないもの」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「自分の感情をコントロールできなくて行うもの(突然キレて行うもの)」を挙げた者の割合は30歳代,40歳代で,「凶悪・粗暴化したもの」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,「低年齢層によるもの」を挙げた者の割合は30歳代,40歳代で,「明確な動機がないもの」を挙げた者の割合は20歳代から40歳代で,それぞれ高くなっている。

(3) 非行を起こす少年の経緯

最近の少年非行は,どのような少年が起こしていると思うか聞いたところ,「保護者が教育やしつけに無関心な家庭の少年」を挙げた者の割合が55.9%と最も高く,以下,「家庭にも学校にも居場所がなく孤立している少年」(44.4%),「保護者などから虐待を受けたことがある少年」(36.2%),「何ら問題がないと思われている少年」(34.9%)などの順となっている。(複数回答,上位4項目)
都市規模別に見ると,「保護者などから虐待を受けたことがある少年」,「何ら問題がないと思われている少年」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「保護者が教育やしつけに無関心な家庭の少年」を挙げた者の割合は男性で,「家庭にも学校にも居場所がなく孤立している少年」,「保護者などから虐待を受けたことがある少年」,「何ら問題がないと思われている少年」を挙げた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「保護者が教育やしつけに無関心な家庭の少年」を挙げた者の割合は50歳代,60歳代で,「家庭にも学校にも居場所がなく孤立している少年」を挙げた者の割合は50歳代で,「保護者などから虐待を受けたことがある少年」を挙げた者の割合は30歳代で,「何ら問題がないと思われている少年」を挙げた者の割合は20歳代から40歳代で,それぞれ高くなっている。
子どもの有無別に見ると,「家庭にも学校にも居場所がなく孤立している少年」を挙げた者の割合は中学生,大学生の子どもがいる者で,「保護者などから虐待を受けたことがある少年」を挙げた者の割合は乳幼児,中学生の子どもがいる者で,「何ら問題がないと思われている少年」を挙げた者の割合は乳幼児,小学生,高校生の子どもがいる者で,それぞれ高くなっている。

(4) 実際に身の回りで起こり問題となっている少年非行

実際にあなたの周囲で起こり問題となっている少年非行を聞いてみたところ,「いじめ」を挙げた者の割合が19.6%,「バイクや自転車などの乗り物を盗む」を挙げた者の割合が17.1%,「万引き」を挙げた者の割合が16.9%,「喫煙や飲酒,家出や深夜はいかいなどの不良行為」を挙げた者の割合が16.8%,「ささいなことに腹を立てて暴力を振るう」を挙げた者の割合が15.2%,「バイクや自転車などを利用したひったくり」を挙げた者の割合が14.2%などの順となっている。なお,「特にない」と答えた者の割合が44.3%となっている。(複数回答,上位6項目)
前回の調査結果(平成17年1月調査結果をいう,以下同じ)と比較して見ると,「いじめ」(16.8%→19.6%),「ささいなことに腹を立てて暴力を振るう」(12.9%→15.2%)を挙げた者の割合が上昇し,「バイクや自転車などの乗り物を盗む」(20.5%→17.1%),「バイクや自転車などを利用したひったくり」(16.9%→14.2%)を挙げた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,「いじめ」,「ささいなことに腹を立てて暴力を振るう」,「バイクや自転車などを利用したひったくり」を挙げた者の割合は大都市で,「バイクや自転車などの乗り物を盗む」を挙げた者の割合は中都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「いじめ」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「いじめ」,「バイクや自転車などの乗り物を盗む」を挙げた者の割合は40歳代で,「万引き」を挙げた者の割合は20歳代で,「喫煙や飲酒,家出や深夜はいかいなどの不良行為」,「ささいなことに腹を立てて暴力を振るう」を挙げた者の割合は20歳代から40歳代で,「バイクや自転車などを利用したひったくり」を挙げた者の割合は60歳代で,それぞれ高くなっている。
子どもの有無別に見ると,「いじめ」,「ささいなことに腹を立てて暴力を振るう」を挙げた者の割合は小学生から大学生の子どもがいる者で,「バイクや自転車などの乗り物を盗む」を挙げた者の割合は高校生,大学生の子どもがいる者で,「万引き」を挙げた者の割合は中学生から大学生の子どもがいる者で,「喫煙や飲酒,家出や深夜はいかいなどの不良行為」を挙げた者の割合は乳幼児,中学生から大学生の子どもがいる者,子どもがいない者で,それぞれ高くなっている。

(5) 社会的にみて問題だと思う少年非行

広く社会的にみて問題だと思う少年非行を聞いたところ,「いじめ」を挙げた者の割合が53.0%,「ささいなことに腹を立てて暴力を振るう」を挙げた者の割合が48.8%,「刃物などを使った殺傷事件」を挙げた者の割合が46.4%,「覚せい剤や大麻,合成麻薬,シンナーなどの薬物の乱用」を挙げた者の割合が42.4%などの順となっている。(複数回答,上位4項目)
前回の調査結果と比較して見ると,「いじめ」(32.9%→53.0%),「覚せい剤や大麻,合成麻薬,シンナーなどの薬物の乱用」(39.0%→42.4%)を挙げた者の割合が上昇し,「刃物などを使った殺傷事件」(56.0%→46.4%)を挙げた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,「ささいなことに腹を立てて暴力を振るう」,「覚せい剤や大麻,合成麻薬,シンナーなどの薬物の乱用」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「いじめ」,「ささいなことに腹を立てて暴力を振るう」,「刃物などを使った殺傷事件」,「覚せい剤や大麻,合成麻薬,シンナーなどの薬物の乱用」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「いじめ」,「覚せい剤や大麻,合成麻薬,シンナーなどの薬物の乱用」を挙げた者の割合は20歳代から40歳代で,「ささいなことに腹を立てて暴力を振るう」,「刃物などを使った殺傷事件」を挙げた者の割合は30歳代,40歳代で,それぞれ高くなっている。

2.少年非行の問題点

(1) 少年自身の問題点

最近の少年の性格や資質について,問題だと思う点を聞いたところ,「忍耐力がない,自分の感情をうまくコントロールできない(すぐキレる)」を挙げた者の割合が72.5%と最も高く,以下,「他人とのコミュニケーションがうまくできない」(51.2%),「自己中心的,相手の立場や気持ちを理解しない又は理解できない」(50.8%)などの順となっている。(複数回答,上位3項目)
性別に見ると,「他人とのコミュニケーションがうまくできない」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「忍耐力がない,自分の感情をうまくコントロールできない(すぐキレる)」,「他人とのコミュニケーションがうまくできない」を挙げた者の割合は30歳代から50歳代で,「自己中心的,相手の立場や気持ちを理解しない又は理解できない」を挙げた者の割合は50歳代で,それぞれ高くなっている。

(2) 社会環境の問題点

少年非行について,どのような社会環境が問題だと思うか聞いたところ,「携帯電話やインターネットの普及により,簡単に見知らぬ者と出会える環境にある」を挙げた者の割合が63.4%と最も高く,以下,「携帯電話やインターネットの普及により,簡単に暴力や性,自殺に関する情報を手に入れられる」(47.3%),「簡単に暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物を手に入れられる」(43.5%),「カラオケボックス,ゲームセンター,インターネットカフェなどが深夜まで営業している」(40.1%),「携帯電話やインターネットの普及により,少年の交友関係や行動が把握しにくくなっている」(38.9%)などの順となっている。(複数回答,上位5項目
前回の調査結果と比較して見ると,「簡単に暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物を手に入れられる」(48.6%→43.5%),「カラオケボックス,ゲームセンター,インターネットカフェなどが深夜まで営業している」(50.6%→40.1%),「携帯電話やインターネットの普及により,少年の交友関係や行動が把握しにくくなっている」(45.7%→38.9%)を挙げた者の割合が低下している。
都市規模別に見ると,「簡単に暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物を手に入れられる」を挙げた者の割合は大都市で高くなっている。
性別に見ると,「携帯電話やインターネットの普及により,簡単に見知らぬ者と出会える環境にある」,「簡単に暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物を手に入れられる」,「カラオケボックス,ゲームセンター,インターネットカフェなどが深夜まで営業している」,「携帯電話やインターネットの普及により,少年の交友関係や行動が把握しにくくなっている」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。
年齢別に見ると,「携帯電話やインターネットの普及により,簡単に見知らぬ者と出会える環境にある」,「携帯電話やインターネットの普及により,少年の交友関係や行動が把握しにくくなっている」を挙げた者の割合は30歳代から50歳代で,「携帯電話やインターネットの普及により,簡単に暴力や性,自殺に関する情報を手に入れられる」を挙げた者の割合は30歳代,40歳代で,「簡単に暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物を手に入れられる」を挙げた者の割合は40歳代で,「カラオケボックス,ゲームセンター,インターネットカフェなどが深夜まで営業している」を挙げた者の割合は50歳代,60歳代で,それぞれ高くなっている。
子どもの有無別に見ると,「携帯電話やインターネットの普及により,簡単に見知らぬ者と出会える環境にある」,「簡単に暴力や性に関する情報を扱ったビデオ・出版物を手に入れられる」を挙げた者の割合は乳幼児から高校生の子どもがいる者で,「携帯電話やインターネットの普及により,簡単に暴力や性,自殺に関する情報を手に入れられる」を挙げた者の割合は乳幼児,小学生,高校生の子どもがいる者で,「カラオケボックス,ゲームセンター,インターネットカフェなどが深夜まで営業している」を挙げた者の割合は高校生,大学生の子どもがいる者で,「携帯電話やインターネットの普及により,少年の交友関係や行動が把握しにくくなっている」を挙げた者の割合は小学生から大学生の子どもがいる者で,それぞれ高くなっている。

(3) 社会風潮の問題点

少年非行について,どのような社会風潮が問題だと思うか聞いたところ,「他人の子どもに無関心である,地域の絆が希薄化している」を挙げた者の割合が57.4%と最も高く,以下,「社会全般の規範意識(モラル)が低下している」(48.5%),「社会全般に心の豊かさや思いやりの心が失われている」(42.8%),「社会全般的に保護者と子どもの接する時間が不足しがちである」(37.9%),「少年が夢や希望を持ちにくい社会である」(37.0%),「家庭の教育力が低下している」(36.1%)などの順となっている。(複数回答,上位6項目)
前回の調査結果と比較して見ると,「社会全般の規範意識(モラル)が低下している」(57.8%→48.5%)を挙げた者の割合が低下し,「少年が夢や希望を持ちにくい社会である」(31.2%→37.0%),「家庭の教育力が低下している」(30.6%→36.1%)を挙げた者の割合が上昇している。
都市規模別に見ると,「他人の子どもに無関心である,地域の絆が希薄化している」を挙げた者の割合は大都市,中都市で,「社会全般的に保護者と子どもの接する時間が不足しがちである」を挙げた者の割合は中都市で,それぞれ高くなっている。
性別に見ると,「社会全般の規範意識(モラル)が低下している」,「家庭の教育力が低下している」を挙げた者の割合は男性で,「社会全般に心の豊かさや思いやりの心が失われている」,「社会全般的に保護者と子どもの接する時間が不足しがちである」,「少年が夢や希望を持ちにくい社会である」を挙げた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
年齢別に見ると,「他人の子どもに無関心である,地域の絆が希薄化している」を挙げた者の割合は40歳代,60歳代で,「社会全般の規範意識(モラル)が低下している」を挙げた者の割合は50歳代で,「社会全般的に保護者と子どもの接する時間が不足しがちである」を挙げた者の割合は50歳代で,「少年が夢や希望を持ちにくい社会である」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,それぞれ高くなっている。
子どもの有無別に見ると,「他人の子どもに無関心である,地域の絆が希薄化している」を挙げた者の割合は乳幼児から中学生の子どもがいる者で,「社会全般の規範意識(モラル)が低下している」を挙げた者の割合は中学生の子どもがいる者で,「社会全般に心の豊かさや思いやりの心が失われている」を挙げた者の割合はその他の子どもがいる者で,「家庭の教育力が低下している」を挙げた者の割合は大学生の子どもがいる者で,それぞれ高くなっている。


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